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副業・兼業の全体像

2016年に開催された働き方改革実現会議では、副業・兼業といった柔軟な働き方がテーマの一つとして取り上げられました。その翌年2017年には、政府による「働き方改革実行計画」の中で「副業・兼業の推進に向けたガイドラインや改訂版モデル就業規則の策定」が発表され、2020年には、労災保険法の改正により、副業・兼業者が休業した場合の給付額がすべての勤務先の賃金額を合算する等、副業・兼業を推進する傾向が強まっています。

副業・兼業に関する裁判例では、 労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であり、各企業においてそれを制限することが許されるのは、

例えば

  • 労務提供上の支障がある場合
  • 業務上の秘密が漏洩する場合
  • 競業により自社の利益が害される場合
  • 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合

に該当する場合と解されています。

厚生労働省が平成 30 年1月に改定したモデル就業規則においても、「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」とされています。
また、厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン(令和4年7月改定)」においても、「裁判例を踏まえれば、原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当である」とされています。

副業・兼業に関する裁判例と行政の動向を鑑みると、
副業・兼業を一律に禁止することは、もはや時代の潮流にあっていないと言える。
自社の目的にあった、「副業・兼業規程」策定が成功のキーです。

本来、副業・兼業は禁止できない、ならばルールを明確にする必要がある!

副業・兼業規程を作成する際は、厚生労働省から公表されているガイドラインを確認することが有効です。ガイドラインは、企業が社員に対して副業・兼業を認める場合に、具体的にどのようなことに留意すれば良いかが示されています。以下、主な項目です。

安全配慮義務

副業・兼業を行う労働者を使用する全ての使用者が安全配慮義務を負っています。 副業・兼業に関して問題となり得る場合としては、使用者が、労働者の全体としての業務量・時間が過重であることを把握しながら、何らの配慮をしないまま、労働者の健康に支障が生ずるに至った場合等が考えられます。

対策

  • 副業・兼業規程において、長時間労働等によって労務提供上の支障がある場合には、副業・兼業を禁止又は制限する。
  • 副業・兼業の状況について労働者からの報告等により把握し、労働者の健康状態に問題が認められた場合には、 適切な措置を講ずる

秘密保持義務

労働者は、使用者の業務上の秘密を守る義務を負っています。
副業・兼業に関して問題となり得る場合としては、自ら使用する労働者が業務上の秘密を他の使用者の下で漏洩する場合や、他の使用者の労働者(自らの労働者が副業・兼業として他の使用者の労働者である場合を含む。)が他の使用者の業務上の秘密を自らの下で漏洩する場合が考えられる。

対策

  • 副業・兼業規程において業務上の秘密が漏洩する場合には、副業・兼業を禁止又は制限することができるようにする。

競業避止義務

労働者は、一般に、在職中、使用者と競合する業務を行わない義務を負っています。 副業・兼業に関して問題となり得る場合としては、自ら使用する労働者が他の使用者の下でも労働することによって、自らに対して当該労働者が負う競業避止義務違反が生ずる場合や、他の使用者の労働者を自らの下でも労働させることによって、他の使用者に対して当該労働者が負う競業避止義務違反が生ずる場合が考えられる。

対策

  • 副業・兼業規程において、競業により、自社の正当な利益を害する場合には、副業・兼業を禁止又は制限することにする。

誠実義務

誠実義務に基づき、労働者は秘密保持義務、競業避止義務を負うほか、使用者の名誉・信用を毀損しないなど誠実に行動することが要請されています。

対策

  • 副業・兼業規程において、自社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合には、副業・兼業を禁止又は制限する。

その他、企業としての検討事項例

非雇用型のみの副業・兼業であれば許可することは可能なのでしょうか?

副業・兼業に関する裁判例において、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であるとされており、雇用型・非雇用型いずれの場合でも原則禁止できないとされています。したがって、一律に雇用形態ごとに禁止とすることはできないと考えられます。厚生労働省の副業ガイドラインのQ&Aでも同様の考え方が示されているため、労働者の希望に応じて、雇用型の副業・兼業についても原則、認める方向で検討することが望ましいと考えます。

副業・兼業の労働時間を限定することは可能なのでしょうか?

厚生労働省のガイドラインのQ&Aによると、副業・兼業を認めるに当たって、管理モデルといった方法で、労働時間を限定することは可能と示されています。ただし、労働時間以外の時間は本来労働者の自由に利用できる時間であることに 鑑みると、管理モデルにより必要以上の制限を行うことは望ましくなく、副業・兼 業先の企業が管理モデルの導入に応じないなど管理モデルによる副業・兼業が難しい場合でも、企業と労働者との間で十分にコミュニケーションをとり、双方納得のいく形で副業・兼業を進めることが重要であり、実務上、弁護士先生にも相談の上、限定の範囲等を検討していくことになると考えます。

入社間もない社員の副業・兼業はできれば許可したくないのですが・・・

厚生労働省のガイドラインのQ&Aによれば、雇用形態(正社員、契約社員、パート等)の違いによって、副業・兼業を禁止又は制限することはできないとされています。よって、まずは、原則として、雇用形態にかかわらず、副業・兼業を認める方向で検討することが望ましいです。なお、規程作成の際は、新卒者、入社して間もない者などには、会社としての思いを伝え、双方合意の基で、一定期間経過後に対象とする、機密の事務を取り扱う者は対象外とする等、その理由を合理的に示した上での対象者の範囲について、一定期間の制限は可能と考えられます。

労働時間の通算とは?

労基法第 38 条第1項では、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」と規定されており、「事業場を異にする場合」とは事業主を異にする場合をも含む(労働基準局長通達(昭和23 年5月14日付け基発第 769 号))とされています。ただし、次のいずれかに該当する場合は、その時間は通算されません。

  • 労基法が適用されない場合(例 フリーランス、顧問、理事、監事等)
  • 労基法は適用されるが労働時間規制が適用されない場合
    (管理監督者、高度プロフェッショナル制度等、労基法41条該当者)
区分・働き方 労働時間の通算 備考
管理監督者 通算しない そもそも労働時間及び休日に関する
概念がない(労基法41条)
一般社員 通算する 労基法32条、38条適用
フリーランス 通算しない 労基法が適用されない働き方

なお、これらの場合においても、過労等により業務に支障を来さないようにする観点から、その者からの申告等により就業時間を把握すること等を通じて、就業時間が長時間にならないよう配慮することが望ましいとされています。

通算して適用される規定 通算されない規定
法定労働時間 36協定に定める延長時間(労基法36条4項・5項)
時間外・休日労働の絶対的上限規制 (労基法36条6項) 休憩・休日・年次有給休暇
年少者・妊産婦の労働時間 安衛法上の健康確保措置
割増賃金 通算する

通算して初めて6時間を超える場合、休憩の付与は不要です。休日も同じく、自社の法定休日を付与していればOK。

管理モデルとは?

労働時間の申告等や通算管理における労使双方の手続上の負担を軽減し労働基準法が遵守されやすくなる簡便な労働時間管理の方法が厚生労働省によるガイドラインに示されています。

副業・兼業の開始前に、A社(先契約)の法定外労働時間とB社(後契約)の労働時間について、上限規制(単月100時間未満、複数月平均80時間以内)の範囲内でそれぞれ上限を設定し、それぞれについて割増賃金を支払うこととする方法です。これにより、副業・兼業の開始後は、他社の実労働時間を把握しなくても労働基準法を遵守することが可能となります。

本業先A社は、44時間/月
副業先B社は、32時間/月
という上限内で労働時間を管理すれば労基法を遵守することになります。(44+32=76時間<100時間)
尚、この場合、本業先A社の44時間は1.25倍、副業先B社の32時間は、11/7及び11/14の16時間は1.25倍、11/21及び11/28の16時間分は月60時間越えとなり1.5倍の割増賃金の支払いが必要となります。

管理モデル書式例ダウンロード

副業・兼業に関する労働時間の
取扱いについて(通知)
副業・兼業に関する合意書

副業・兼業の許可基準を検討する際の論点は?

副業・兼業が自社での業務に支障をもたらすものかどうかを今一度精査した上で、そのような事情がなければ、労働時間以外の時間については、労働者の希望に応じて、原則、副業・兼業を認める方向で検討することが求められています。したがって、

  • 労働者と企業双方が納得感を持って進めることができるよう、労働者と十分にコミュニケーションをとることが重要であり、副業・兼業を認める場合、労務提供上の支障や企業秘密の漏洩等がないか
  • 長時間労働を招くものとなっていないか

等々を確認する観点から、副業・兼業の内容等を労働者に申請・届出させることが望ましいでしょう。なお、その場合も、労働者と企業とのコミュニケーションが重要になると考えられます。

企業が、副業・兼業の許可について、一方的に基準を設けるのではなく、労使で話し合い、
自社にあった、「副業・兼業規程」策定が成功のキーです。

労災保険はどうなるの?

多様な働き方を選択する方やパート労働者等で複数就業している方が増えているなど、副業・兼業を取り巻く状況の変化を踏まえ、複数事業労働者の方が安心して働くことができるような環境を整備する観点から、2020年9月に労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)が改正されました。改正に伴い、複数の会社で働いている労働者の方について、働いているすべての会社の賃金額を基に保険給付されることとなりました。

社会保険はどうなるの?

多様な働き方を選択する方やパート労働者等で複数就業している方が増えているなど、副業・兼業を取り巻く状況の変化を踏まえ、複数事業労働者の方が安心して働くことができるような環境を整備する観点から、2020年9月に労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)が改正されました。改正に伴い、複数の会社で働いている労働者の方について、働いているすべての会社の賃金額を基に保険給付されることとなりました。

雇用保険はどうなるの?

雇用保険は、原則、同時に2以上の事業所に使用される被保険者の場合、生計の主となる賃金を受ける会社で加入し、加入した会社の給与のみで保険料を算出し、納付2022年1月より65歳以上の労働者本人の申出を起点として、一の雇用関係では被保険者要件を満たさない場合であっても、二の事業所の労働時間を合算して雇用保険を適用する制度が試行的に開始されています。

適用要件

  • 複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること
  • 2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の 労働時間を合計して
    1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること

申請書・誓約書・報告書の雛形・手引きのダウンロード

副業・兼業許可申請書.docx(18kb)
副業・兼業(終了)報告書.docx(17kb)
副業・兼業の手引き.pdf(849kb)

2022年7月には、ガイドラインに「副業・兼業に関する情報の公表」が追加され、副業・兼業を許容しているか否か、また条件付き許容の場合はその条件について、自社のホームページ等において公表することが望ましい旨が示されています。従業員の副業・兼業への関心は強くなっており、求職者においても、応募企業が副業・兼業を許容しているか確認する傾向が高まっています。まずは、会社として副業・兼業をどのように許容するか、どのように活用していくか方針を検討し、ルールを明確にするために、副業・兼業に関する規程の作成は必須といえますので、お気軽に、ご相談ください。

副業・兼業 規程の詳細は以下の通りです。

以下URLをクリックし、ダウンロードの上、ご確認ください。
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