海外進出企業労務サポート
海外勤務者の社会保険
海外赴任者の雇用保険の保険料と失業給付
①日本国内(出向元)から給与が支払われている場合
支払われる給与のうち、国内に勤務する場合に支給されるべき給与と同等の額を限度として、保険料や基本手当日額の算定の基礎となる賃金として取り扱われます。国内給与が少額の場合、国内給与を算定基礎に用いた場合、帰国後6カ月以内に失業した場合には支給される失業給付が低額となる場合があります。 海外勤務手当などが別に支払われている場合には、その超過額に相当する額については、実費弁償的なものとして、賃金とは認められていません。
②日本国内(出向元)から給与の支払いがない場合
保険料の算定となる賃金はなく、海外出向期間中のその者の保険料は支払う必要はありません。また、出向元からの賃金の支払いがないと、赴任者が帰国して1年を経過しないうちに失業した場合は、基本手当の受給資格が得られない場合があります。その場合の救済措置として受給資格の緩和措置が認められています。
この緩和措置とは、原則の1年間に病気やけがなどの理由により賃金の支払いを受けることができなかった日数を加算することができ、最長4年間まで算定対象期間を延長することができます。つまり、その延長された算定対象期間に被保険者期間が通算して1年以上あれば、基本手当は支給されることになります。
雇用保険においてこのような取扱いを行っている理由として、仮に出向先の企業のある国においてその国の失業補償制度が適用されるとしても、外国の失業給付は、その国の外においては行われないのが通例であり、帰国後すぐに失業した場合などには、給付を受けられない者が出てくることがあるため、その保護の必要上、これらの者の被保険者資格を継続させることとしているものです。