中国(上海)の労働法
中国(上海)における労働紛争の処理
2008年より、中国における労働争議調停仲裁法が施行され、以下の内容が規定されました。
項目 | 内容 |
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受理範囲 | ① 労働関係の確認に起因して発生した紛争 ② 労働契約の締結・履行・変更・解除・終了に起因して発生した紛争 ③ 除名、解雇及び辞職、離職に起因して発生した紛争 ④ 労働時間、休憩・休暇、社会保険、福利、研修及び労働保護に起因して発生した紛争 ⑤ 給与、労災医療費、経済的補償、賠償金等に起因して発生した紛争 ⑥ その他法律、法規に規定される労働紛争 |
労働仲裁の費用 | 無償 |
立証責任 | ・紛争事項に関する証拠を使用者が保管・管理する場合、使用者はその証拠を提出しなければならない(第6条) ・使用者によって保管・管理されているために、労働者が仲裁で争われている時効に関する証拠を提出するこができない場合、仲裁廷が使用者に対して、期限を指定して証拠の提出を要求することができる。この場合、期限内に使用者が証拠を提出しない場合、使用者の不利な結果を引き受けなければならない |
時効 | 仲裁申立の時効期間は、本人が認識してから1年 |
労働仲裁に至るまでのステップとしては、下記の通りであり、本労働仲裁を経ないと、人民法院による訴訟を提起できない仕組みとなっています。
【STEP1】 労使協議による和解
【STEP2】 調停組織による調停
【STEP3】 労働紛争仲裁委員会による仲裁
【STEP4】 人民法院による訴訟
本労働仲裁制度は、①制度利用が無償となっていること、②企業側に立証責任が課されていることがあり、従業員側が利用しやすい制度となっています。
特に②については、日頃から従業員との労働関係の書類、エビデンスを揃えておくことを意識しリスクの軽減を図る必要があります。