タイの労働法
従業員を解雇する際の手当
まず前提として、タイは日本とは異なり働き口が多く、タイ人が日本ほど会社に執着することはあまりありません。
タイでは解雇の際の金銭補償額が解雇の内容に応じて具体的に決まっています。また、解雇手当の支払いが不要であるケースが法律で具体的に明文化されています。ただし、合理性のない解雇が出来ないのは日本と同様です。また、合意退職の場合は、日本同様に解雇手当の支払いは不要です。
通常の解雇手当
項目 | 詳細 | ||||||||||||||||
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解雇手当 |
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有期雇用契約者の解雇
少なくとも1給与期間以上前に通知する必要あり。即時解雇の場合は、解雇手当の他に雇用報酬を支払う必要あり。
その他の法定の手当(会社側の理由での解雇)
① 特別解雇手当(事業所移転の場合):30日以上前の事前通告義務あり。新事業所で働くことを望まない労働者には特別解雇手当の支払いが必要。
② 解雇手当の上乗せ(整理解雇の場合):業務縮小、機械導入、機械更新等による労働者の削減を理由とした整理解雇は60日以上前に事前通告義務あり。また、6年以上勤続した労働者には、勤続1年あたり15日以上の解雇金を通常の解雇金に上乗せして支払いが必要。
解雇手当の支払いが不要なケース
労働者が「下記理由には該当しない」と解雇手当を求めて労働裁判所に提訴した場合、解雇事由に関する証拠が必要になります。タイの労働裁判では労働者側が優位であるため、労働者側に不正行為や規則違反などに対して(口頭だけではなく)警告書を作成し、証跡を予め揃えておくことが大切です。
No | 項目 | 備考 |
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1 | 契約期間満了の場合 | 契約期間は2年まで |
2 | 業務上の不正行為を行ったり、使用者に故意に犯罪行為を犯した場合 | |
3 | 意図的に使用者に対して損害を与えた場合 | |
4 | 過失により使用者に重大な損害を与えた場合 | |
5 | 就業規則、使用者の合法的、正当な命令に違反し、既に文書で警告を受けている場合 | 警告書の有効期限は違反を犯した日より1年 |
6 | 正当な理由がなく、3労働日連続して職務放棄した場合 | 3労働日間の休日の有無は不問 |
7 | 最終判決により禁固刑を受けた場合 | 過失、軽犯罪によるものを除く |